株式の引受価格

株式関係事務
(1)株式払込金の受入れと同保管証明書の発行
株式会社にあっては、株主の責任はその有する株式の引受価格を限度とする有限責任を負うにすぎないので(商法200条1項)、会社債権者にとっては、その債権の担保になるのは会社財産のみとなる。

そこで、商法では株式会社にその資産の目安として資本金額を公示させ、その額に見合う資産が実際に会社が保有すべきことを求めている。

これを資本充実の原則といい、会社を設立する場合あるいは増資する場合には、発起人や会社が自ら株式払込金の受入れをすることを禁止して、株式の払込が完全に履行されるようにするために、株式申込証には株式の払込を取り扱う銀行また信託会社およびその取扱場所を記載して(商法175条2項10号・4項・280条ノ6第1項5号.280条ノ14)、必ずここに記載された銀行また信託会社において株式の払込をなすことにしている(商法177条2項・280条ノ14)。

そして、払込を取り扱った銀行または信託会社は、発起人または取締役から請求があったときは払込金の保管に関する証明をすることとされている(「株式払込金保管証明書」の発行一商法189条1項)。

この場合、銀行等はその証明した払込金額について払込がなかったこと、またはその返還に関する制限をもって会社に対抗することができないことになっており(同条2項)、会社の資本充実のために銀行等に保管証明責任を負わせている。

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新規事業の展開とカードキャッシング

タイを中心に東南アジア諸国で1997年に生じた事態のメカニズムを以上のように解釈するとして、ここからいったい何が問題点として浮かび上がってくるであろうか。「アジア成長神話の終罵」といったジャーナリズムがしばしば好んでいい募るような、何かおどろおどろしいことがこの地域で起こっているというのであろうか。

筆者はそうは考えない。東南アジアで昨年生起したことが上に述べたような形で整理されるものであれば、それは十分合理的に解釈できる経済的変動であって、不可思議なことが生じているわけではない。しかもそれらは、国によっては調整に若干の時間を要しようが、いずれも適切に政策を運用すれば修復可能なものだとみるべきである。

現在の東南アジア経済の苦境を御しがたい構造上の病弊の現われであるとか、成長潜在力の個渇を意味するものだととらえるのは謬見である。あらためて何が問題なのか。1つは、後発の低賃金国の市場参入により東南アジアの比較優位構造が大きく変化しつつあるという事実を念頭におき、自国の生産・輸出構造の高度化をはかる不断の努力がこの地域諸国においては欠かせないのであるが、この努力においてタイが後れをとったことである。

後発国の追い上げを見据え、生産費を上回る生産性の上昇、不動産・流通コストの削減努力、既存産業の高付加価値化、高コストに耐えうる新規事業の展開、補助関連産業の育成、さらにはそのための研究・人材開発努力の諸点で、タイがなお不十分であったという問題を今回の通貨危機は少々劇的な形でこの国に提起したのである。

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融資比較と通貨不安

割高のバーツを大量に売り浴びせてタイを変動相場制に追い込み、そうして安くなったバーツを買い戻すことによって為替差益を手にしようとしたのである。タイの中央銀行はドルを放出してバーツを買い支えるべく努めたものの外貨準備量の制約はいかんともしがたく、ついにドルペッグ制を放棄して変動相場制(管理変動相場制)への移行を決意した。

こうして事態は投機筋の目論見通りに進み、バーツは急落のやむなきに至った。タイの通貨危機はそれほどの時間をおかずに周辺の東南アジア諸国の通貨不安を誘発し、ペソ(フィリピン)、リンギ(マレーシア)、ルピア(インドネシア)の下落を引き起こした。これら東南アジア通貨の下落が同時発生したのには、次のいくつかの理由が考えられる。

東南アジア諸国が、いずれも自国通貨をドルと連動させる事実上のドルペッグ制を採用していたこと、タイほどではないにしても一様に経常収支の赤字を抱えていたこと、さらにこの経常収支を補填すべ<流入した外資が資産ブームをつくりだしその崩壊の危険性があったこと、何よりもバーツ安が東南アジア3国の輸出競争力弱化への懸念を強めて自国通貨の切下げへの期待が生まれたこと、である。

おそらくはこれらの事情を斜酌したうえで、国際投機筋は東南アジア諸国の通貨下落を高い確度をもって予想し、現地通貨売りの攻撃をしかけたのであろう。この投機筋の行動により各国通貨の同時下落が発生したのである。

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キャッシュローンと不動産開発

タイは1993年にBIBF(BangkokInternationalBankingFacility)と称するオフショア市場を創設し、以来、この市場で調達される資金がタイに流入する外資の中枢的な地位を占めた。経常収支の赤字にもかかわらず、タイ経済が順調な拡大を最近年まで続けてきたメカニズムがこれである。

オフショア市場から調達される外資は国際金利差に応じて容易に流出入を繰り返す短期性資金であり、海外直接投資や政府・銀行融資のような安定的な長期資金ではないために、受入れ国の国際収支を不安定化させやすいという問題がある。しかし、タイで現実のものとなったより厄介な問題は、この短期性資金の相当多くが乗用車や住宅などの購入ローン、株式、不動産などの「非生産的」部門への投資に回され、いわゆるバブル経済をタイにつくりだしてしまったことである。

たしかに不動産部門への資金流入はいささか過剰であった。バンコク市街地や郊外での豪華なオフィスビル・高級マンションの群生、沖積土デルタを蚕食して次々に造成されるゴルフ場など、この時期のタイは異常なバブル経済の渦中にあった。案に相違せずこの不動産バブルはほどなくして潰え、不動産開発に資金を提供してきた金融機関に不良債権が累積し、そうして株式市況が冷え込んだ。

タイ経済の命脈を握る在外華人がその伝統的な「華僑商法」を金融・不動産部門において展開したことの帰結でもあった。経常収支の赤字化、バブル経済の崩壊、金融機関の不良債権累積、株式市場の低迷、成長率の下落を見据えて、国際金融投機筋はバーツの先行きを下落と確信したのであろう。

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カードローン即日とオフショア市場

しかし、1996年に入って円高・ドル安から円安・ドル高へと局面が移行するに伴い上に述べたメカニズムが反転し、タイの実効的な為替レートは割高となった。加えて、後述するようにタイはドルペッグ制のもとで外国資金の大量流入をはかってきたために、国内に過剰流動性が生まれてインフレ圧力を強め、これがバーツの実質的な為替レートを上昇させてしまった。

要するにドルペッグ制での実効実質為替レートはドルに対して割高なものとなったのである。経常収支の赤字化は不可避であった。経常収支の赤字化には、さらに次のようないくつかの要因が加わった。タイの繊維製品など労働集約財の輸出競争力の優位性が、中国、インド、ベトナムなどの低賃金国の国際市場参入により相対的に弱まり、とくに1994年初の人民元大幅切下げによりその傾向が加速した。

さらに折からの世界的な半導体不況がエレクトロニクス製品への輸出依存度の高いタイの市場環境を不利化した。これら諸要因が重層的に作用してタイの経常収支の赤字は急速に膨らみ、その対GNP比は1995年、1996年と連続して8%を超える水準にまで拡大してしまった。タイはこの経常収支赤字をオフショア市場からの大量の外資とり入れによってまかなってきた。

オフショア市場とは、外国(非居住者)から調達した資金を他の外国(非居住者)に対して運用(外・外取引)する国際的な自由金融市場のことである。しかし、発展途上国のオフショア市場では外国(非居住者)と内国(居住者)との内・外取引を許容する方式がとられることが多い。オフショア市場への流入資金の中心は、発展途上国と先進国との金利差を求めて国際間を自由に流動する大量の投資資金である。

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ネットキャッシングとドルペッグ制

アジアは植民地からの政治的独立以来の半世紀にわたる先行条件期を経て、1980年代後半期より一様に高成長過程に入り、その過程で特有な自立的発展のメカニズムを擁するに至った、というのが筆者の見方である。目下アジアで生じている通貨危機は長期的な成長過程で生じた調整的困難である。

事態を冷|利に見据えた適切な政策の運用をはかることによりアジアはほどなくして修復期を終え、いまひとたびの高成長過程に入るものと筆者は考えている本章はアジアの今日の繁栄を築いた発展のメカニズムについての筆者の解釈であり、通貨危機という短期的な困難によってこのメカニズムが潰えることなどありえないとする確信を示したものでもある。

■1997年の東南アジアで起こったことは何か
1997年の中頃から東南アジアを悩ませてきた通貨危機の経緯について、タイの事例によりこれを整理することからはじめよう。事のおこりは経常収支の急速な悪化であった。タイは1980年代の中期以降、バーツ価をドル価と連動させる事実上のドルペッグ制(通貨バスケット・ドルペッグ制)を採用してきた。

1985年9月のプラザ合意以来、空前の円高・ドル安局面に入り、それゆえバーツをドルに連動させることにより輸出振興、外国企業の導入促進を狙ってのことである。この政策は功を奏した。以来、タイは外資系企業主導の輸出志向型成長を順調に推移し、年平均実質で8%を超える安定的な高成長を実現してきた。

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